novel

□ひとつ屋根の下【1】
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こんな恋しい気持ちを抱くなんて。
この時の私はまだ知る由もなかったんだ。



《Yuko side》

私、大島優子は社会人2年目にやっとなったばかり。
何の縁もなかったこの街に配属されて、少しでも早く会社の人達や仕事に慣れるように必死だった1年間。
最近では持ち前の明るさと親しみ易さからか、
取引先の人達も「優子ちゃん」と気軽に私の事を呼ぶ人達も増えて来た。
そんなすっかり桜の花も散った頃。
あなたはやって来たんだ。

…以前も会社の会議でたまに見かけた事はあった。
でも、あなたはちょっとここからは遠い、
それこそ電車で2時間はかかる営業所で勤務していたし、
職種も違う先輩だったから、特に接点はなかった。
それでも、たまにあなたの噂を周りの職場の人から聞く事があった。
なんでも、若くしてその営業所のNO.2なんだとか。
新入社員だった私は、1つ上の先輩でそんな人がいるんだ。
程度にしか思っていなかった。あと、
「あんなに美人で仕事も出来るなんて羨ましい。」
…だってあなたは、同性の私からみても非の打ち所がない美人。
さらにスタイルも良いときたもんだから、ちょっとくらい私に分けてくれたっていいんじゃないか。
なんてね。

その先輩の名前は小嶋陽菜さん。
名前まで可愛いなんて反則だ。

とにかく、その先輩がこの度転勤で私のいる街にやってきた。
しかも、社員寮として会社が借り上げてる私と同じアパートに。


続く

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