novel

□ひとつ屋根の下【3】
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《Side Haruna》


ピン、ポーン・・・・。



え?こんな時間に・・誰?

麻里ちゃんやみぃちゃんなら、来る前に連絡くれるハズだし

宅配も頼んでない。

もしかして何かの勧誘?・・・真夜中に?

色んな可能性が頭の中を過ぎったけど、
最終的に陽菜が出した結論は・・・

居留守だ。


正直、このボロアパートの事だから、
今の今まで陽菜が鼻歌歌ったりしてたのが
外まで聞こえてると思う。

うん。きっと、居るのはバレバレなんだろうけど、この際そんな事はどうでも良い。


・・・だって、気味悪いもん。

残念ながら、部屋のインターホンにはカメラが付いてないので、外を確認するには

覗き穴から確認するしかないのだ。

でも、それって、向こうからも影とかで覗いているのがバレるって事でしょ?


あーもう、やだやだ。

なんか怖いよ。


・・・じっと動かず、ヤドカリのように気配を消そうとした。

のに、

・・・・ピンポーン。


無情にも二度目のチャイムが鳴る。


どうしよう。
心臓がギュっとなって全身が強ばったと同時に


「こじまさん・・?遅くにすみません・・・・!

私二階に住んでる企画課のおおしまと言いますっ。」

ちょっと掠れた、
でも確かに女の子だと分かる声がドアの向こうから聞こえてきた。



おおしま・・?

んー・・
確か一つ下にそんな名前の後輩が居るって聞いた事あるような・・・。


おおしまさんとやらは、必死さが伝わる声をしていて少し気になった。


「あのっ・・・いらっしゃいません・・か・・・?」


小さく遠慮がちな声に、陽菜が居留守をしている事がバレてると確信して、

ちょっと可哀想になってきた。


何か困った事でもあったんだろうか?


念のため、ドアスコープから外を確認すると、
スーツ姿の小さい女性がちょこんと立っていた。


何だか、眉毛が八の字になってて小動物みたい。


あ、そんな事考えてる場合じゃないか。
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