古の君色-イニシエノキミイロ-

□第7話
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「…ちょ、3人とも…」





あたしの前にいる勇人、杏菜、悠斗の3人は一枚の紙とにらめっこをしている。





「まさかあんたら…」















勇「は? なにテストって食えんの?」





笑いながら

紙をひらひらさせている勇人。




あとの2人は紙とのにらめっこを継続中でありまして。







「追試…ですか」






そういうとキッとあたしに向かって睨んで杏菜が口を開いた。






杏「あたしたちと一緒にいたくせになんでこんなにも点数の差ができるのよ!!」





バン!!とあたしの机の上に広げられた杏菜の解答用紙。









悠「不公平だ…」


「…(汗)」















…この流れからしてもう理解したと思うが…たった今期末テストが返って来たのだ。





今回は体育祭があって忘れてたなんて言い訳ができるということで

あまり平均も高くない。




でもやっぱりテストの点数が悪ければ赤点というものがありまして。


その赤点を取った者は強制的に追試を受けなければならないわけで。







あたし以外の3人は

それに該当している。









「…それぞれ何の教科赤点だったの?」


杏「あたし英語」


悠「俺も」


勇「俺は数学」


「勇人は違うんだ(笑)」






テンションが明らかに低くてどうすればいいかわからなくなっていると

杏菜が何か思いついたようにあたしに詰め寄ってきた。







杏「名無しさん、英語得意!?」


「え、ま、まぁ…」


杏「英語教えて!!」







そう杏菜がいうと便乗するように悠斗も言った。





悠「俺も! 先生やってください!!」


「別にいいけど」






杏菜と悠斗が勝手に話しを進んでいる中ぼーっとしている勇人。






「勇人…?」


勇「…名無しさん得意なのって英語だけ?」


「え?」


勇「数学は?」


「んー…得意じゃないけど…」


勇「でも赤点じゃなかったよな!?

俺にも数学教えてっ!!!」






縋(スガ)るように言ってくる勇人。


こんな言われたら断るなんてできるわけがない。






「うまく教えられるかわからないけどなるべく頑張って教えるよ」


勇「ほんと!?ありがとー!!」









よかった、

いつもの笑顔。







やっぱり勇人は笑顔じゃないと!











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