古の君色-イニシエノキミイロ-
□第9話
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-名無しさんside-
朝の電車。
ガタンゴトンと心地よい揺れで眠気を誘う。
今日は夏休みが明けて初めての学校。
そんでもって早く目が覚めて家でやることもないのでとりあえず登校してみた。
早く乗ったはいいけど…
学校着いたら何しよう…
外をぼーっと見ながら考えているとあっという間に学校の最寄り。
電車を降り、階段を下り、改札を出た。
一つため息をついて歩き出そうとするとふいに肩を叩かれる。
振り向けばそこには勇人がいた。
勇「やっぱ名無しさんや!!」
あたしは勇人にそう言われることが予想外すぎてなにも言えなかった。
勇「名無しさん?」
もう一度名無しさんを言われはっとする。
「お、おはよ…」
やっと言った言葉に勇人はなんだか満足そうな顔をして笑った。
なんでこんなに何事も無かったかのように話しかけてきてくれるんだろう。
今のあたしの頭の中にはそれしかない。
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