古の君色-イニシエノキミイロ-

□第10話
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この前まで暑かったのにあっという間に涼しい季節がやってきました。


朝、いつものように登校していると朝練が終わった勇人と校内で会い、ふたりで下駄箱に向かった。

下駄箱に着くとちょうど杏菜と悠斗が上履きに履き替えてるところだった。


「おはよう」
杏「あ、おはよー。あれ?今日一緒に登校してきたの?」


首を傾げながら聞く。


勇「朝練終わってさっきたまたまそこであったんや」
杏「そかそか」


あたしも靴をしまうために下駄箱の小さな扉を開ける。

そして上履きを引き出すと中から一枚の紙が落ちた。


ユ「名無しさんまたー?」

あたしの様子を見ていた杏菜がその紙を拾ってその紙に書いてある字を読む。

その杏菜の後ろから勇人と悠斗も覗き込んだ。



勇「"昼休み、屋上に来てください"…てこれラブレターやん!!」
悠「こんなベタなことすんやつがいるんだなー」


「なー」と2人で顔を合わせながら笑っていた。


杏「笑い事じゃないよ!!名無しさんはね体育祭以来お呼出しばんばんされてんだから」


背中を杏菜にばんばん叩かれる。


勇「…え、そうなん?」

コクリと頷く。


ユ「あんた、バスケで目立ちすぎて目つけられちゃったんだよ」
「バスケかー…」

確かにあのバスケをした日、決勝まで行ったから全校生徒並みの人数が体育館のバスケみてたからなー…。


そう思いながら杏菜が持っていた紙を受け取ってちゃんと自分で中身を見る。


そこには本当に勇人が言った通りのことだけしか書かれていなかった。


「はぁ…」


一つため息をつく。

3人はそのラブレターの話で盛り上がって先に行ってしまった。

あたしも追うように教室へ向かう。


でも廊下の角を曲がるとバックを肩にかけ、廊下に寄りかかりこっちを向いて立っている勇人がいた。


勇「いくんやろ?」

チラッと紙を見ながら言う。



勇「付き合うとか絶対なしやからな」



それだけを言ってあたしに背を向け「いくで」と教室へ向かっていく。

勇人の後ろをあたしは着いていった。



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