撫子

□解散
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零番隊隊舎

冬「っ!おいっ!!解散って…」

『言葉の通りよ…』

いつもなら書類仕事を黙々とこなしている時間なのだが、今日は違う

先刻総隊長に呼び出された維霏が帰ってきてから、隊員(3人しかいないが)は驚くことしかしていない

帰ってきた維霏は見るからに落ち込んでいた

いつもなら感情を表に出すことがない維霏がだ今回は悲しみを明らかにしていた


あ「それは四十六室の命令ですか?」

信じられないと言いたげな荒月 あや、零番隊四席は俯き問う

『えぇ…そうらしいわ』

悠「従わなきゃダメ?


  無視れば良くない?」

怒りを顕にした声色でいうのは桐生 悠紫、零番隊三席だ

『無理ね。
 四十六室の決定を覆すほどの権力は私たちにはない…
それに、私たちの仕事は主にあそこから来てたわ
仕事がなければどのみち解散だわ』

落ち着いた語り方をしているが、内心は悲しみと悔しさでいっぱいだった

冬「解散したとして、これからどうすんだ?」

やけに落ち着いて話すのは架月 冬梧、零番隊副隊長だ 

あ「冬梧!?なんでそんなに落ち着いてられるのよ!!」

おっとりしたあやが起こるのは珍しい

『あや、落ち着いて、ここで怒っていても仕方がないわ、」

悠「そうそう、それに落ち着いてるように見せかけて意外にも怒ってるよ、冬梧は」

あ「…」

『あや…』

納得のいかないのはあやだけではない

百年以上このメンバーで過ごしてきた日常が「解散」の一言で終わりを告げられたのだ

冬「で、どうなんの、このあとは
 
 なんかあるんだろう」

確信しているかのような冬梧の言葉

『解散後は護廷十三隊に所属するように言われたわ
ただし、昇格は三席まで
私の場合、正体を隠し昇格することは許されない』

悠「なにそれ、」

『良くはわからない…ごめんね…』

明らかにしゅんとした維霏

冬「お前のせいってわけではないだろ

  謝んな
  
  三席まで?上等だ護廷の奴らをしばきながら過ごせば少しはストレスも解消されるぜ?」

あ「それもそうね、」

悠「え、やだこの二人…隊長、どうにかして、」

『しばくのはだめ、おとなしくしてて…

いつか、ちゃんとこの場所を取り戻すから…

それじゃだめ?』

この居心地の良い場所を簡単に手放したくはない

…任務内容がなんであれ、この場所だけは

冬「…当たり前だ。ここは必ず取り戻す
  維霏の力だけじゃない、俺たちだってやれることはやるさ
けど、


それまでは護廷の奴らで遊んでもいいだろ?」

笑顔でいいっきた冬梧

『…できるだけ目立たないようにしてね』

維霏の言うことをきちんと守るのかは定かではないが、しばらくはおとなしくしておいてくれることを維霏は祈るしかない

『じゃあ、それぞれがその隊か言うわ』

悠「それも決められてんの?」

最悪…とこぼす悠紫、思ったのは彼だけではない

『仕方ないわ、私たちで決めたら、みんな同じ隊に行くって思われてるのよ』

冬梧はまだしも悠紫やあやは維霏とおなじ隊に行くことは目に見えていたのだろう

『それじゃ、発表するわね、』



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