ハレルヤチャンス

□変態ババア現る!?
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「冴男スピーチ考えた?」



そろそろ聞かれると思っていたよ。

だから、ゆっくり息を吐いて答えた。

「ふぅー。まだだけど・・・。」



少しの沈黙。


「ハァー。頼むよ冴男。式は明後日だからね。僕と由紀の晴れ舞台は一発ドカーンって笑い起こすか、号泣の感動モノで頼むよ。アハハ。」


全然笑えないし、冴と麻里ちゃんの間にはテンションの差がありすぎるんだけど。

てか、冴は何も考えたくないし。



「麻里ちゃんのムチャブリはたくさんしてきたけど、今回ばかりは許してよ。」



冴らしくない、少し冷たい感じで答えてしまった。



「冴男の困った時って本当にかわいいなぁ。でも冴男は優しいし、マメだから絶対素晴らしいスピーチしてくれるって信じてるよ。アハハ。」


その一言を残して電話が切れちゃった。

鋭い麻里ちゃんなら冴がスピーチをしたくないことに気づいているはずなのに、どうして冴にさせようとするんだろう。


わざと冴にさせようとしている気がするなぁ。


もしも、冴がスピーチを考えたとしても、言いたくない・・・


てか、結婚式自体出たくない。

そうだ!
風邪ひいたことにしようかな?



別に麻里ちゃんのことが嫌いなわけじゃないよ。

むしろ好きだし。

いや、その、勘違いしないでよ?

冴はちゃんと女性が好きですよ。

・・・たぶん。



そんなことは置いといて、実は麻里ちゃんを大嫌いな時期もあったんだ。

というよりも、一歩踏み出さなかった自分が嫌いだったなぁ。




麻里ちゃんは明後日に冴が本気で好きだった、りんちゃんと結婚式を挙げてしまうんだ。


なぜか皆からチャラ男と呼ばれていたけど、冴が本気で好きだった相手は、りんちゃんだけ。

自分の気持ちにも鈍感だった冴は気づくのが遅過ぎたみたい。



気づいた時には、もう麻里ちゃんが奪っていたんだ。
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