ハレルヤチャンス
□過去から今へ
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ゆっくりと目を開けた
目の前は、いつもと同じ冴の部屋だった
でも、一つだけ違うのは、めーたんが居ないこと
前は勝手にお風呂入っていたりしてたけど、今回はそういう訳でもなく、きっと妖精の世界へと帰ってしまったんだろう
最後に「ありがとう」って伝えたかったな
それと「ごめんね」って
もうすぐ結婚式が始まってしまう
冴は、まだ頼まれたスピーチを考えていない
自分の気持ちをありのままに伝えたら、きっと会場の雰囲気が悪くなる
困らせることだけはしたくないんだ
でも、自分の気持ちに嘘もつきたくない
だから、なるべく正直に伝えたい
そして、なにより“友人”として柏木由紀の幸せを願わなければならないんだ
そう自分に言い聞かせる
友人として・・・
過去の冴は、いつも自分に自信が無かった
でも、今は・・・
今なら誰よりも柏木由紀を幸せにできると思っている
過去に戻ってやっと告白できた時に、りんちゃんに言われた言葉
“遅いよ”
本当にその通りだと思う
ハレルヤチャンスをして改めて気付いた
こんなにも好きだったことに
“ブーブーブーブー”
机の上に置いていた携帯が鳴っている
まりちゃんからだ