ハレルヤチャンス
□高校総体
2ページ/13ページ
「さえちゃんどうしたの?」
「由紀ちゃん、応援来てくれてありがとうね。」
「ううん。バスケの試合見にきたいって言ったの私だもん。」
「由紀ちゃんが来てくれたから、今日は優勝出来るよ!」
「私は応援しか出来ないよ。てか、さっきの試合は、さえちゃん大活躍だったね。」
「そんなことないよ。でも、決勝は冴の勝利の女神様の為にも、絶対に優勝したい!冴、全力で頑張るからしっかり見てて欲しい!」
「うん。しっかり応援するからね。」
「優勝したら、1つだけお願い聞いてくれない?」
「えっ、何?」
「冴と『おい、冴何してるんだよ?早く来いよ』 」
くぅ〜、ゴリラめ!!
一生恨むぞ、こら!!
「分かった。すぐ行くから、先行ってて!」
「おう。遅れんなよ。」
りんちゃんに付き合って欲しいって言おうと思ってたのに
でも、雰囲気も大切だよな
危ない、危ない!
ちょっと焦り過ぎた
「由紀ちゃん、戻ろっか。」
「う、うん。あの、さえちゃん。」
「ん?どうしたの?」
「これ、良かったら糖分補給にどうぞ。」
りんちゃんから、三角のいちごの飴をもらった
「やったー!これ、冴の一番好きな飴なんだ!」
「うん。知ってたから、その飴にしたの。」
「マジで?ヤバい、嬉しくて泣きそう。」
「ちょっと、さえちゃん大げさだよ。」
「いやいや、本当に!ありがとね。」
「喜んでもらえて良かった。さっ、戻ろう?」
「うん。」
グッと奥歯に力入れてるけど、顔がにやけそうでヤバいです
冴も試合で活躍して、絶対りんちゃんにカッコイい所を見せる!
てか、冴たちってもしかして、良い雰囲気じゃない?
チャンスじゃない?
隣にりんちゃんが居るのに、色々妄想してはニヤニヤしてしまう
今の冴の顔見られたら、引かれるぐらいニヤニヤしてると思うから、りんちゃんが居る方の逆を向いて、顔を見られないように歩いていた
何か、幸せだなぁって思っていた
りんちゃんが応援に来てくれるなんて過去には無かった
幸せ過ぎる!
過去に戻ってすぐに、りんちゃんに会えて、りんちゃんと2人っきりで話せて、舞い上がっていた
でも、よく考えてみると、冴たち都大会はベスト4だったはず
どうして決勝に進んでいるのだろう?
あまりに自然過ぎて気づくのが遅れた
また過去が変わっているじゃないか!!
冴が3回過去に戻ったことで、何か変えてしまったのか?
あっ、もしかして・・・
冴があの時、「ぽっちゃん!」
聞き間違えだと思った
でも、聞き間違えることなんて無い
何度も願っていたから
もう一度会いたいと
そして、もう二度と“ぽっちゃん”なんて呼ばれることなど無いと思っていたのに
唯一、彼女だけが呼ぶ愛称が聞こえて、思わず振り返った