photograph

□eight
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『……ギラン・バレー症候群に類似した……』

図書館で医学書紛いを開き、幸村君の病を調べる。
因みに病名は柳君からの情報だ。

『……無い』

何でないんだ。
医学書のくせに。
“類似”だからか。
医学書紛いだからか。
若干落ち込みながら今日も写真を届けに行く。

「……も…だから……」
『……?』

幸村君の病室から声がする。
失礼とは思いつつ、ドアの隙間から中を覗いた。
幸村君に背を向け、ナースと医者が話している。
幸い、気付かれてないようだ。

「もう……テニスは出来ないだろう」
『……!!』

頭の中、真っ白になった。
叫びそうにもなった。
今、なんて……?
口の中がカラカラに渇いている。
全身の震えが止まらない。
落ち着け、私。
まず、ドアの隙間に手紙を挟んでおこう。
きっと誰かが気づいてくれる。
私は、その場から逃げるように走った。
とりあえず一階へ降りよう。
と、誰かにぶつかった。

『ご、ごめんなさい!』
「いや、俺も悪かった。怪我はないか」

……何か、聞き覚えがある声だ。

『や、柳君!』
「紫苑か。手紙は出してきたんだな」
『うん。……早いね』
「関東大会も順調だからな」

関東大会。
ズキリ、と胸が痛んだ。
立海はきっと全国へ行けるだろう。
でも、その時に……
……幸村君はその場に立っていられるだろうか。

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