BL−boys love

□オレたちを繋ぐのはチャリアカーじゃなくて
1ページ/1ページ



練習後独特の気だるいのに気持ちいい、そんな瞬間

いつもと変わらず恋人と並んで歩く

今日はチャリアカーではなく、徒歩だ

風が気持ちよくて、隣りの恋人を想いながら静かに歩くのもなんか青春っぽくていい


「高尾、珍しく無口だな。気分でも悪いのか?」
「……まあね。なーに?心配してくれちゃってんの真ちゃん?」
「いや。気になっただけだ」


そういうのを心配してるって言うんじゃないの?

という疑問はさておき

なぜオレが無口なのかというと……


「真ちゃんさあ」
「なんだ」
「ほんとにオレのこと好き?」
「なっ?!突然何を言うのだよ!」


真ちゃんこと緑間真太郎の気持ちを聞くため

それとこの焦りながら照れる顔を見るためだ

特に気分も悪くないし具合も悪くない


「ねえ、どうなの?」
「そ、そんなの言わなくてもわかるだろ…」
「わかるけど、直接聞きたいじゃん?」
「お前はどうしてそういう……」


照れているせいかハッキリとしゃべらない

そんなところもかわいい

だからちょっとだけいじわるしてあげる


「あーやばっ…」
「?どうした?」
「…ちょっとめまい」
「大丈夫か?!」


ゆっくりとしゃがんで頭を抱えて見せる

こんな演技にも簡単に引っかかっちゃうなんて

結構単純だなって笑いそうになるのをこらえた

真ちゃんはマジで心配してオレの前にしゃがんで声を掛けてくる

うれしくてにやけちゃいそう


「高尾!しっかりするのだよ!」
「真ちゃ…」
「ん?大丈夫か?」


そろそろ限界

そんな風に優しく声掛けられて

肩抱かれたらもう我慢できない


「真ちゃんのせいなんだから……」
「え?…っ……んっ、たか……っんん」


普段は遠い顔がこんなに近くに寄せられたらキス、したくなるじゃん

そのきれいな顔に手を添えて深く口付ける

人通りがないとはいえ、ここは道路なのに真ちゃんを求めて止まらない

全部、真ちゃんのせいだから……


「……っは…高尾っ…」
「ちょ、真ちゃんえっろ…」
「ばっ!誰のせいだ…っ」


真っ赤になってとろけた表情の真ちゃんを見下ろしてニヤッとすると目をそらされた

そういうの、そそるんだよなー


「真ちゃん」
「……」
「…ごめんね?驚かせて」
「……よかったのだよ、本当のめまいじゃなくて」


目をそらせたまま小さくつぶやく

反則っしょ、それ

胸の中がジワジワとくすぐったくなる

好き、真ちゃんホント大好き


「…っ高尾!」
「真ちゃん…大好き……大好きっ!!」
「高尾……」


真ちゃんを引き寄せてぎゅうぎゅう抱き締める

これだけでも充分しあわせだったのに

真ちゃんがぎこちなくオレの背中に腕を回したから

胸の奥から溢れるしあわせがうわごとのようにこぼれる


「好き、好き…もう止められない、好きすぎて」
「……俺もなのだよ」
「真ちゃん…死にそうだよオレ」
「高尾が死ぬなら俺も死ぬかもな」


冗談なんだかわからないけど

でも真ちゃんはこんな冗談は言わない

しあわせ過ぎて胸が苦しくて

ホントに死んじゃいそうなんだから


「だが、この状況だと別の意味で死にそうだぞ」
「もしかして恥ずかしくて?それとも社会的に?」
「どっちもだ」
「アハハ…そう、だね」


こんなときでも冷静な真ちゃんには適わない

パッと立ち上がって真ちゃんに手を差し出す

そこに控えめに重ねられたテーピングの指をやさしく握ると真ちゃんは視線をそらせながら立ち上がった

そしていつものように真ちゃんのほうが背が高くなる

オレがいくら紳士ぶっても身長だけは負けてしまう


「……気にすることはない」
「へ?」
「だから、お前のほうが小さいとか、そんなことを気にすることはないと言っているのだよ」
「真ちゃん……」


こういう時だけ視線をそらさずに真っ直ぐ見つめて言うからこっちが恥ずかしくなる

でもそうやって素直な真ちゃんが好きだから


「ねえ、真ちゃん小指出して?」
「小指?」
「そう」


ニコッと笑って見せれば渋々小指を立てて差し出してくる

その小指にそっと唇を寄せた

ビクッとする姿にまた愛しさがこみ上げてくるからペロリと小指を舐めた

さすがに怒るかと思ったけど

真ちゃんは顔を赤くして見下ろしていて


「帰ろっか」
「あぁ」
「ホントに帰んの?」
「は?帰らないのか?」


ぽかんとした表情の真ちゃんに笑いながら自分の小指を真ちゃんのに絡めて歩き出す

本当は帰りたくない

けどまた明日会えるから


「……」
「真ちゃん?」
「……」
「どったの?」
「……指」
「指?あーいいじゃん?こう、ヒミツって感じで!」
「…そうだな」


いつもより素直な態度の真ちゃんもかわいくて絡めた小指に力を入れた

たまにはチャリアカーじゃなくて隣りを歩くのもいい

真ちゃんもそう思ってるのかな

わからないけど

またこうやって帰りたい

ゆっくり歩いて

少しでも長く一緒にいたいんだ



(小指じゃもの足りない?手繋ぐ?)
(なっ…)
(あり?満更でもない感じ?真ちゃんかっわいー)
(…高尾!!)





−*−*−*−*−*−

とても萌え悶えながら書きました(^o^)

高緑しあわせですね

こっちもしあわせになったような気がしますw





[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ