桜恋唄 〜その壱〜

□第十五話
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すると、襖の外から千鶴ちゃんの声がした。



「如月さん、お粥をお持ちしました」



すっと襖が開いてお盆を持った千鶴ちゃんが入ってくる。



「お口に合えば良いんですけど……」


『ありがとう、千鶴ちゃん。手間掛けさせちゃったね』


「いえ、そんな事ありません!気にしないで下さい!」



その横で、新八さんが声を上げる。



「うわっ、すっげー良い匂い!」


「新八。千鶴はお前が食う為に作ったんじゃねえぞ」


「わ、分かってるって……」



ちょっと拗ねた風に反論した彼に、俺はお粥を一匙掬って差し出す。



『……新八さん、一口食べる?』


「おまっ……何言ってんだよ!ほら、早く食え!」



やや慌てた様子の新八さんが、首をぶんぶんと大きく振った。



『そう?じゃ、いただきます……』



千鶴ちゃんが心配そうに此方を見ている。



『……ん、美味しい!』


「良かった……!」



千鶴ちゃんに視線を送れば、彼女は小さく手を叩いて笑った。




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