桜恋唄 番外編 〜その壱〜

□日向ぼっこ
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『…………って一君、聞いてる?一く〜ん?』



この先から、僕が探していたあの子の声が聞こえる。


少し早足で廊下の角を曲がれば、中庭を見下ろす縁側に座る彼女。

僕は幾日かぶりに見るその背中に近付くと、偶然を装って声を掛けた。



「あれ、ほたるに一君じゃない。何やってるの?」


『あ、総司、おはよ。一君が刀の手入れしてたから、それを見てたんだ。ま、俺の場合は日向ぼっこってところかな』


「ふうん、じゃあ、僕もお邪魔させてもらおうかな」


『うん、勿論だよ。座って座って』



僕はほたるの右側に腰を下ろすと、彼女の顔を覗き込む。



『ん?どうかした?』


「ううん、何でもないよ」



不思議そうに首を傾げたほたる。

京に来た頃より随分と伸びたその髪に、そっと触れる。



『総司?って、うわっ……』




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