桜恋唄 番外編 〜その壱〜

□休息
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その日、外務を済ませた俺は、京の町を一人歩いていた。

満足な睡眠が取れておらず、やや重たい瞼を無理矢理押し上げ、歩みを進める。


すると、刺さるような鋭い空気を感じ取り、慌てて振り返った。



「ほう、さすがだな。俺の気配に気が付いたか」



彼は、いつものように存在感のある佇まいで、そこにいた。



『伊達に新選組監察方をやっているわけではありませんので。それより風間さん、こんな所で何していらっしゃるんですか?』



俺は目を逸らす事なく相手を見据えたまま、さっと刀の柄に手を掛ける。



「そういきり立つな。今日はお前と刀を交えに来たわけではない」



彼の真意を確かめるべく、じっと睨むが、どうやら本当に刀を抜く気はないらしい。

だが、俺が刀の柄から手を離した瞬間。



『っ……!?』



目の前に、風間さんの顔があった。



そっと首筋に触れた指先が、先日、彼によって付けられた傷跡をなぞる。


離れなきゃ……!

そう思うのに、身体が反応しない。


風間さんは身を翻し、俺に背を向ける。



「ついてこい」



それだけ言うと、彼は歩き始めた。




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