桜恋唄 番外編 〜その壱〜

□手当て
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「土方さん」



自室に戻ろうとしていたところを、総司に呼び止められる。



「総司か。どうした、こんな夜中に」



聞くだけ野暮と言うものだろう。

総司の言いたい事は、粗方予想がついた。



「ほたるの事なんですけど」



……やっぱりな。



「首の傷。あれ、どうしたんです?」


「……隊務中にちょっとな」


「土方さんがいたのに、ですか?」


「…………」


「ほたるに聞いても、答えてくれないんですもん。ねえ、教えて下さいよ」



総司は薄く笑みを浮かべながら質問してくる。

しかし、その声色には、何処か苛立ちが混じっていた。


誤魔化したところで、総司がそう簡単に引き下がるとは思えねえ。

仕方なく俺は口を開く事にした。




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