桜恋唄 番外編 〜その壱〜

□信頼
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眠るほたるを見つめながら、俺は数日前の事を思い出していた。


あんたの笑顔を、守ってやりたい、と────。


そう心に誓ったはずだ。


なのに。
俺は、何をしているのだ。

彼女が苦しんでいる時に、ただ見ている事しか出来ないとは……。



「ほたる」



俺の声は、届いているか?


何故、あんたは目を覚まさない────?


小さく息をつき、そっとその頬に触れる。


────すると、障子越しに、人の気配を感じた。



「……総司か?」


「あれ、一君も来てたんだ」



そう言いながら障子戸が開かれ、総司が入ってくる。



「……やっぱりまだ起きないんだ」


「ああ。無理もない。相当の負荷が掛かったのだろうからな。……身体にも、心にも」


「……そうだね」



────その後、俺と総司は、雪村がやってくるまで、互いに無言のまま静かにほたるを見守っていた。




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