桜恋唄 番外編 〜その壱〜
□小さな贈り物
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『……ん……』
ゆっくりと瞼を上げると、既に部屋の中は真っ暗だった。
慌てて、身を起こす。
禁門の変以降、休む間もなく慌ただしく動いている今日この頃。
昨夜からの任務から戻った俺は、夕食まで少し仮眠を取ろうと横になったのだけど……。
どうやら、本格的に眠ってしまったらしい。
『やっちゃったな……』
とりあえず、月の位置を確認してみようと立ち上がろうとした時だった。
「……ほたるちゃん」
囁くような声が、襖の外から掛けられる。
この声は────。
『伊庭さん?』
俺は襖に近付くと、それをゆっくりと開ける。
そこには、伊庭さんの姿があった。