桜恋唄 番外編 〜その壱〜

□心配
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『総司、いる?』



襖の向こうから掛けられた声に、僕は立ち上がる。



「ほたる。どうしたの?僕に何か用?」



すっと襖を開けると、そこにはほたるが立っていた。



『総司。お腹、大丈夫?』


「お腹?」


『俺もあの場に最初からいたわけじゃないから、詳しい状況は分からないんだけど……千鶴ちゃんから聞いた話だと、総司、お腹を強く蹴られて吐血したって事だったからさ。目に見える怪我と違って見た目じゃ判断しにくいし……お腹が痛いとか、気持ち悪いとか、ない?』



ほたるは気遣わしげな瞳で、僕を見つめてくる。



「大丈夫。お腹は痛くないし、気持ち悪くもないよ」


『…………』



彼女を心配させないよう、そう答えたのだけど。

何故かほたるから反応が返ってこない。




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