桜恋唄 〜その壱〜
□第五話
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「ま、待ってくれ……!」
声を上げたのは、古高だった。
これまで一切の言葉も出さずに唇を噛み締めていた奴が、ついに口を開く。
「その娘は関係ない。だから、頼む……。逃がしてやってくれ……」
「ああ?信用出来っかよ、そんな事。此奴が間者じゃねえって保証は何処にもねえんだ」
「……天皇を……。天皇を、長州に……」
僅かに肩を震わせながら、古高は消え入りそうな声で呟いた。
原田にちらっと視線を送れば、彼奴もまた、微かに笑う。
「……此奴をどうするかは、俺達が決める。原田、連れていけ。新八、先に広間へ戻ってろ」
新八は頷くと、すぐに部屋を出て行った。
「ほら、行くぞ。さっさと立て」
二人の足音が、廊下の向こうに消える。
良くやった……。
心の内でそう呟くと、残りの情報を聞き出すべく俺は古高に向き直った。
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⇒ 第五話 番外編(原田)
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