桜恋唄 〜その壱〜

□第十話
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「……そろそろ日が暮れちゃいますね」



夕日も傾き掛けた頃、俺達は天王山の麓にいた。


新八さんは多くの隊士を引き連れて、長州の残党を捜しに山を登った。

可能性は高くないだろうけど、浪士達が山を降りてきた場合に備えて、数人の隊士が麓で待機を続けている。



「……大丈夫ですよ。そろそろ戻ってこられると思います」



……千鶴ちゃんと魁君のこのやり取りを聞くのも、何度目だろう。



「大丈夫、なのかな……。大丈夫だと、良いな……」


『大丈夫、副長はそう簡単に殺られたりしないよ。必ず此処に来る』



不安そうに俯く千鶴ちゃんに、俺も声を掛ける。




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