桜恋唄 〜その壱〜
□第十五話
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『……ん………』
「急に起き上がるな、もう少し寝てろ」
聞き慣れた声が、耳に届く。
身体を起こそうとした俺は、副長の言葉にもう一度布団へ身を沈めた。
まだ、頭がぼーっとしている。
「如月さんっ……。良かった……」
徐々に視界がはっきりして来て、涙ぐみながら此方を覗き込む千鶴ちゃんが見えた。
「お前、もう三日も眠ったままだったんだぜ」
ええと……俺は────。
働かない頭を回転させようとした、その時。
騒がしい足音と共に、賑やかな声が廊下の向こうから近付いてくる。