桜恋唄 〜その壱〜

□第二十二話
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屯所では、全員が警護から戻ってすぐ、主だった隊士が集められて話し合いが始まった。



『……それにしても、彼らは一体何者なんでしょう』


「知るかよ。ったく、厄介事ばかり増やしやがって」



副長が大きく息を吐く。


……二条城に現れた三人の男達、風間千景、天霧九寿、不知火匡。



「今まで新選組が遭遇してきた状況から考えて、三人が薩摩や長州と関わっているらしい事は確実かと」


「薩摩、長州と言えば、反幕府派の筆頭だろ?つっても、奴らが藩に所属しているかはっきりしねえし、目的も不鮮明なところがあるけどな……」



一君の発言を受けて、左之さんも首を傾げる。



『何にせよ、迂闊に手を出しにくい相手なのは間違いないですね……』



彼らが【鬼】と名乗ったのもさる事ながら……。

もうひとつ問題なのは、 三人が千鶴ちゃんに近付いてきた事。


副長達は、彼女に狙われる心当たりがないか尋ねていたけど、恐らく千鶴ちゃんの様子からして彼女自身も混乱している風だった。


俺は、皆の意見に耳を傾けながら、あれこれ考えを巡らせていた。




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