桜恋唄 番外編 〜その壱〜
□日向ぼっこ
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そのまま馬の尻尾のように垂れたその髪をぐいっと引けば、体勢を崩したほたるが後ろによろける。
『ちょっと総司〜っ!もう、何するんだよ!』
「だってほたるのこれ、つい引っ張りたくなるんだもん」
くるくるとその毛先を弄びながら、僕はほたるに問い掛ける。
「ねえ、ほたるっていつ寝てるの?」
『え?いつって、夜だよ?』
「昨日だって、戻ってきたの夜中でしょ?なのに今日の朝はあんな時間からうろうろしてるし」
『今朝はたまたまだよ。言っただろ?目が覚めちゃったんだって』
「僕が夜の巡察から帰ってきた時、ほたるはまだ居ない事が多いし、かと思えば朝起きたらもう出て行っちゃってるし。なかなか君に会えないんだけど?」
『ああ……うん、確かに最近はすれ違う事が多いけど、ちゃんと睡眠はとってるよ。心配してくれたんだよね、ありがとう』
にこりと微笑んだ彼女は、でも……と付け加えると、そのまま僕の左腕と一君の右腕を取り自分の方に引く。