桜恋唄 番外編 〜その壱〜

□日向ぼっこ
2ページ/4ページ


そのまま馬の尻尾のように垂れたその髪をぐいっと引けば、体勢を崩したほたるが後ろによろける。



『ちょっと総司〜っ!もう、何するんだよ!』


「だってほたるのこれ、つい引っ張りたくなるんだもん」



くるくるとその毛先を弄びながら、僕はほたるに問い掛ける。



「ねえ、ほたるっていつ寝てるの?」


『え?いつって、夜だよ?』


「昨日だって、戻ってきたの夜中でしょ?なのに今日の朝はあんな時間からうろうろしてるし」


『今朝はたまたまだよ。言っただろ?目が覚めちゃったんだって』


「僕が夜の巡察から帰ってきた時、ほたるはまだ居ない事が多いし、かと思えば朝起きたらもう出て行っちゃってるし。なかなか君に会えないんだけど?」


『ああ……うん、確かに最近はすれ違う事が多いけど、ちゃんと睡眠はとってるよ。心配してくれたんだよね、ありがとう』



にこりと微笑んだ彼女は、でも……と付け加えると、そのまま僕の左腕と一君の右腕を取り自分の方に引く。




次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ