桜恋唄 〜その壱〜
□第二話
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────広間に入ってきた私を射竦める、厳しい視線。
「おはよう。夕べは良く眠れた?」
「寝心地は、あんまり良くなかったです……」
「ふうん。さっき僕が声を掛けた時には君、全然起きてくれなかったんだけど?」
「…………」
ふ、不覚……!!
愕然とする私を見て斎藤さんが呆れたように溜め息を吐く。
「揶揄われているだけだ。総司はあんたの部屋になど行っちゃいない」
……………………。
無言で沖田さんを見やると、にやにやと笑みを浮かべたまま茶化すような口調で言う。
「もう少し君の反応を見たかったんだけどな。一君も酷いよね、勝手にバラすなんてさ」
……酷いのは斎藤さんじゃなくて、沖田さんの方だと思いますけど……?
『総司、いい加減にしなよ!ごめんね?』
「あ、いえ……」
躊躇いがちに返事をする。