桜恋唄 〜その壱〜
□第四話
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────あれから早一週間。
中庭に面した縁側で、総司と一君と、他愛ない話をしていた時だった。
「おはようございます」
声に振り返れば、そこには彼女────千鶴ちゃんが立っていた。
『おはよう』
にっこりと微笑めば、千鶴ちゃんの表情が少し和らぐ。
「俺達に用があるなら言うと良い」
「実は……。父様を探しにそろそろ外へ出たいなと思って」
「それは無理だ。お前の護衛に割く人員は整っていない」
取り付くしまもなく一君に却下されてしまうが、千鶴ちゃんは諦めずに食い付いていく。
「……ならば俺が試してやろう。その腰にあるものがただの飾りでない事を証明してみせろ」
「え!?」
驚いた様子で一君と自分の腰にある小太刀を見る千鶴ちゃん。
「でも、斬り掛かるなんて出来ません!刀で刺したら、人は死んじゃうんですよ……!?」