桜恋唄 〜その壱〜

□第六話
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◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

「目が覚めましたか、調子は如何です?」


『はい、もう大丈夫です。ご心配お掛けしました。それで、皆は……』



すると総長は、視線を落とし気味に口を開く。



「少々困った事になりました。あの後、四国屋と池田屋のどちらかで会合があると踏み、前者の方が優勢と人数を割り振ったのですが……。どうやら逆だったようなのです」


『っ……!!でしたら今すぐに俺が伝令を……』


「いえ、その必要はありません。つい先程、山崎君に伝令を頼んだところです。あなたはまっすぐに、池田屋へ向かって下さい。そちらには近藤さんをはじめ、沖田君、藤堂君、永倉君、それから雪村君がいるはずです」


『千鶴ちゃんもですか!?……御意。只今』


「くれぐれも、気を付けるのですよ」


『ありがとうございます。……行って参ります』



総長に頭を下げ、俺は部屋を出る。


目指すは池田屋。

どうか、皆が無事であるように……。


そう祈りながら、漆黒の闇に包まれた町をひたすら走った。




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