桜恋唄 〜その壱〜
□第七話
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元治元年七月────。
私は、幹部全員分のお茶を載せた大きめのお盆を手に広間へ入った。
準備に少し手間取ってしまったから、冷め気味のものが混じってるかもしれない……。
「ありがとう、雪村君。すまんねえ、こんな仕事まで」
『ちょうど今、お茶を淹れに行こうとしてたんだ。ありがとう。助かっちゃった』
井上さんと如月さんが、優しく声を掛けてくれる。
「あ、私なら大丈夫です。皆さんにはお世話になってますし」
お茶を一口飲んでから、何故か沖田さんは目を細めた。
「……あの。お茶、渋かったですか?」
私が尋ねると、彼は首を横に振る。
「……美味しいよ?ちょっと温いけど、これくらい隙がある方が君らしいよね」
「……すみません」