桜恋唄 〜その壱〜
□第七話
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「……せめて女の子の前では黙っててくれたって良いじゃん」
ちらりと平助君は此方を見た。
「……あ、別に大丈夫だよ?痛いもの痛いんだと思うし」
『そうそう、それで平助が泣いてたって聞いても、今更驚かないし。何なら俺が塗ってあげようか?』
「お前なあ!……、」
私の横でけらけらと笑う如月さんに、何故か顔を赤く染めた平助君が反論しようとしたその時、不意に永倉さんが口を開いた。
「そういえば、千鶴ちゃん。もし新選組が出陣する事になったら、一緒に参加したいとか言ってたよな?」
「……え?」
確かにそんな事を言った気がする。
前に原田さんの組の巡察に同行した時、途中で永倉さんに会って……そのような話になったかも。
「でも、あの……」
だけど、そんな簡単に参加出来るものじゃないって事はちゃんと分かっていたつもりだ。
下手な事を言って皆を困らせたくなくて、私はすぐに否定の言葉を探したのだけれど────。