桜恋唄 〜その壱〜

□第八話
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「土方さん。公家御門の方には、まだ長州の奴らが残っているそうだぜ」



左之さんがもたらした一報に、副長は少しばかり表情を変えた。


続いて烝君も駆け込んでくる。

今回の御所襲撃の扇動をしたと見られる過激派の中心人物らが天王山に向かっているそうだ。


大局で新選組の動きを考えるのは副長の仕事だ。

皆が自然と副長を頼るし、局長すらもそれが当然といった顔をしている。


皆が、彼の発言を待っていた。


思案を続けていた彼が、不意に淡く笑みを浮かべる。



「……忙しくなるぞ」



ただそれだけの短い言葉で、隊士達は鼓舞されたように湧き上がった。




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