桜恋唄 〜その壱〜

□第十一話
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それを聞いて、俺は目を丸くする。



『え、西本願寺、ですか?』


「あははは!それ、絶対嫌がられるじゃないですか!……反対も強引に押し切るつもりなら、それはそれで土方さんらしいですけど?」



総司は楽しげに笑って言った。

横では左之さんも、うんうんと頷いている。



「確かにあの寺は広いな。……ま、坊主共は嫌がるだろうが。それに西本願寺ならいざと言う時にも動きやすいだろ。ほたる、お前の色仕掛けで何とかしろよ」


『はあ!?ちょっと左之さん、何言い出すんだよ!』


「それは良い考えかもね。僕も見てみたいな〜。そういうほたる」


『総司まで……。そんなの出来るわけないじゃん!』



全力で否定する俺に、二人は、にやにやと悪戯な笑みを浮かべていた。


屯所がある【壬生】は、京の外れに位置している。

市中巡察に出るにも、やや不便な場所なのだ。




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