桜恋唄 〜その壱〜
□第三話
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すると廊下の向こうから複数の足音と、藤堂さんの声がした。
「おい、ほたる。何やってんだよ〜?話、終わっちまったぞ?」
すっと襖が開き、藤堂さん、斎藤さん、原田さん、そして永倉さんが入ってくる。
『ごめんごめん。つい話し込んじゃって。ね?』
「え?あ、はい!」
「おい、ほたる。いつの間に仲良くなってんだよ。ま、そういうところは、お前らしいわな」
原田さんはそう言って笑った。
「あ、あのっ……!」
口を開いた私に、皆の視線が集まる。
「私の話を、聞いてもらえないでしょうか……」
「恐らくお前の事情は汲めないだろう。それでも良ければ話すと良い」
「う……」
でも此処で諦めるわけにはいかない。
「私、人を探してるんです。京に顔見知りもいなくて、何より昨日の昼に着いたばかりで……」
すると如月さんは目を細め、緩い仕草で首を傾ける。
『寄る辺もなしに、女の子一人で人探し?』