妖精達の日常

□空には星が瞬いた 〜ラクミラ編〜
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片や賑やかに、また一方は切なく過ごした七夕の夜も更け始めた。
そんな静けさに包まれたギルドで、一人片付けを続ける者がいる。
ミラ:「ふぅ、やっぱり宴会の後はお片付けが大変ね。」
食器を洗っているこの女、ミラジェーン。
七夕の宴でナツ達が食べ終えた大量の料理の皿を、テキパキと洗っているのだが…。
ミラ:「あっ!」
手が滑り、一番大きな皿を誤って落としそうになったその時…。
ラクサス:「何してんだお前は…。」
ミラ:「あらラクサス、まだ残ってたの?」
皿を受け止めミラジェーンに渡しているこの男、ラクサス。
ミラ:「拾ってくれてありがとう。
ごめんね、食器の音煩かった?」
ラクサス:「そんなんじゃねーよ。」
気遣いの言葉をかけるミラジェーンをスルーし、ラクサスは洗い終えた食器を片付け出す。
ミラ:「…ふふっ。」
ラクサス:「何笑ってんだ。」
ミラ:「ごめんね、嬉しくてつい…。」
ラクサス:「はぁ?」
訝しげなラクサスに駆け寄り、その耳元にそっと囁いた。
ミラ:「私のために、わざわざ手伝いに来てくれたんでしょ?」
ラクサス:「…っ!///
ち、調子のってんじゃねぇ!」
ミラ:「きゃーっ、ラクサスってば怖〜い♪」
全く怖がっていない声色でラクサスをからかうミラジェーン。
またラクサスも、そんな穏やかな時間をどこか楽しんでいるようだ。
ラクサス:「ったく、お前って奴は…。」
ミラ:「何?」
ラクサス:「…なんでもねーよ。
ほら、片付け終わったら寝んぞ。
部屋まで送ってやる。」
ミラ:「えぇ、ありがとう。」
嬉しさに顔を綻ばせつつ、差し出された手にそっと自分の手を重ねるミラ。
そんな2人がギルドから出ると、空にはまだ満天の星空が広がっていた。
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―空には星が瞬いた―>
ミラ:「星が綺麗ね、やっぱり七夕だからかしら。」
ラクサス:「――…それ別に関係なくねーか?」
ミラ:「ラクサスってばロマンがな〜い。」
クスクス笑うその笑顔が星よりも煌めいて見えるなんて、今は悔しいから言ってやらない。

→あとがき
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