こんな世界の中で
□Du monde je t'aime
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心地よい風の吹くこの場所が、
病的に好きだった。
*
物心がつく頃には、この場所にいた。
よくわからないけれど荒れていて
生命を感じた。
少し気になって立ってみる。
土はふわふわしていて、空気はとても美味しかった。
ぐぅ、と音を立てるお腹
それを聞いて空腹だということに気づく
何か・・・食べ物を・・・
本能のままに求めて練り歩く
すると、
グゥォオオオオオ!!!
と明らかに私のお腹の音ではない
大きな雄叫びが聞こえた。
気になって、声を頼りに近づくと
大きな広場のような場所に出た。
そして雄叫びを上げた本人とご対面
それは、大きな虎のような容姿の化物だった。
化物は大きな雄叫びをあげる。
雄叫びは、まるで、衝撃波のようで
体が後ろに押し返されるようだった。
「ねぇ、あなたの名前は?」
一歩々々虎に近づく
威嚇してくるのを無視してまた一歩
「怖がらないで、ビースト」