こんな世界の中で
□Parents
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教会に戻ると何やら宙に浮いた生き物を見つけた。
やはり、ここは、知らないことばかりだ。
なんて、考えながら、ビーストの時と同じように、近づき話しかけた。
「あなたは誰?」
私の存在に気づいたのか、人間らしき生物は
『お前の母となるべきものだ。』
と、唐突に言った。
確かに、私には、もう、母はいない。
「おかあ、さん?」
不意に呟くと、彼女は確かに笑ってみせた。
それは、肯定の意思
つい、嬉しくなり、笑みがこぼれる。
母(仮)の後ろに、寄り添うようにいるのは、
誰なのかと尋ねると
『私の夫だ』
つまりは、私の父なのだ。
一度に望んでいた両親ができたことに
私は嬉しくてたまらなかった。
それが、化物だったとしても
こうして、私はここで約6年間過ごすこと
となる。