二万感謝企画

□04.
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ぽたぽたぽた、

がりっ、と言う音がした後、赤が落ちた。それは瞬時にシャワーが放った無数の雨にじわりと混じり、排水溝に流れ、消えた。それは飽きてしまいそうな程に何度も繰り返された。

「野蛮、ですねぇ」

はっ、と笑いを漏らすと、彼の手に馴染んだ三叉槍を右手に踊らせると、左手で襟元を掴み持ち上げた雲雀恭弥を放し、落下する身体に叩き付けた。ぐ、と苦しげに声が上がる。それに満足がいった、といいたげに六道骸は愉悦を顔に孕ませた。

「いいですか、もう一度だけ言いましょう」

ずざざ、と床と摩擦を起こした雲雀恭弥の髪をわし掴みにし、苦渋の孕んだ双眸を向けられたことに口元を上げると、傷口を、刔る様に舌で舐め上げた。

「君は僕の玩具だ」

たかだか見目のいい玩具風情が、持ち主であるこの僕に盾突くことは赦されない、そうでしょう?と同意を求めた。しかし六道骸自身、同意を本当に求めているわけではない。同意があろうとなかろうと、それは絶対条件なのだ。

「さあ、僕を愛してると言って下さい」

そして僕を求めて、僕の物になってしまえ。六道骸はそう呟くと、優しく優しく抱きしめた。


【排水溝】


(高い矜持も愛おしいけれど、そんなものはさっさと排水溝に流してしまえばいい。ほら、すぐにわからなくなるのだから)



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