二万感謝企画
□43.
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深く深く絡めあって、熱を奪い合って、同じ熱に溺れて墜ちて、何もかも考えられなくなって、最後には溶け合えてしまえたらいいのに。
それは、僕の願望で。
深く絡めようとすれば、骸君はどちらともなく舌を噛み千切ろうとする。それは、ヒバリキョーヤに向けられた恋慕の情が快楽に溺れることを赦さないからだろう。肌で感じて熱に溺れてしまおうとしても、骸君の心は冷え切って、僕の熱を拒絶する。僕が骸君で頭がいっぱいで、骸君を強く求めても、骸君はヒバリキョーヤでいっぱいで。僕を見ても、ヒバリキョーヤの名前を呼ぶ。溶け合えたなら、なんて無理な話だ。
だから、僕は骸君の目を隠した。僕を見ていない目が僕を見詰めて咎める。これほど屈辱を味わうものはない。そんな眼は見たくなかった。
僕は声も出さなかった。僕がヒバリキョーヤにだったなら、骸君は僕を愛してくれた。僕がヒバリキョーヤの身代わりになれば、骸君はきっと僕を愛してくれる。だから、僕は僕の姿と僕の声を棄てた。
僕は、ヒバリキョーヤとして、眼を開き、骸君を見詰めて、視姦する。骸君は僕…ヒバリキョーヤの為に喘いで、高い声で啼いてくれるだろうか。冷たい視線と冷たい声と突き放す態度はもう欲しくない。
骸君が僕を求めてくれるなら、僕は要らないんだ。
【目隠し】
(ねぇ、骸、愛してよ。)