遠い空から見守って


□05 そのままで
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良く晴れた、とある暑くて暑い日の事。

夢近、春美、寿彦、咲久間の4人はテーブルに大きな地図を広げて、楽しげに話をしていた。

「兄貴、やっぱりココ行こうぜココ!」

「バカ!そんな山奥誰が行くんだ」

「あのーもしもし?」

寿彦がツッコミを入れるも、誰も気付かず話は勝手に進んで行った。

「なぁ、やっぱ海?」

「早すぎるだろ!」

「あのーもしもし?」

それでも、ツッコミ入れる寿彦に夢近があ?って顔で凄みをきかせた。

「これって咲久間の退院祝いだよな?」

「そうだと思うよ………」

汗ジトになる咲久間を余所に夢近と春美の言い合いは続いていった。

「北海道?」

「馬鹿野郎!誰が運転すると思ってるんだ」

「入れない入れない」

もはや寿彦も呆れて側を離れた。

「可哀相な咲久間」

「良いんだよ寿彦慰めならいらないよ」

やがて、何とか行き先は決まったらしく夢近と春美がやって来た。

出発は1週間後。

「ホテルはちゃんと予約しとけよ!」

「あーぃ」

「楽しみだね咲久間」

「うん」

4人が一緒にドライブするのは初めての事だった。

そんなドライブ2日前の事。

「あんたさぁ、いい加減白状したらどうなのよ?」

「イヤだ、兄貴にはぜってー言わねぇ」

「だったらちゃんと帰ったら報告に来るのよ分かった?」

「あーぃ」

気のない返事をして夢近が病院を後にした。

「行こうか」

「おう、陽子何か言ってたか?」

「別に」

そして、旅行の日になった。

「おっはー!!」

「元気良いよな、寿彦」

「何だかね」

春美の車が駐車場から玄関先へやって来た。

「おーい、行くぞー!」

そして、ドライブは始まったのだが。

「あ!ゾウさん!」

「動物園じゃ無いし!」

寿彦のツッコミには誰も相手しなかった。

「おかしいなぁ」

「どうしたんだよ、兄貴?」

「この道で合ってるはずなんだが」

いきなり迷子になる4人。

「兄貴ぃー!!」

「仕方ない車中泊だな」

「えぇぇー!」

かなり突発に始まったドライブ、突発的に迷子、車中泊。

4人の運命やいかに!?

「やっぱりだ!」

夜中、いきなり春美が叫んだ。

「んだよ、兄貴」

「分かったんだよ、正解の道が!」

そして、車は山道を抜け道路に出た。

「ホテルだぁ!!」

予定よりだいぶ遅れて4人は目的地へ。

「ああ、着いて良かったあ」

「良かったよな」

やっと二人きりになって。

「そのまま、そのまま!」

「ふっ」

やがて、長い夜はお決まりの如く始まるのだった。





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