遠い空から見守って


□10 舌の動きに
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それはとある出来心からだった。

「先輩、この所学校来ませんけど何かあったんすか?」

「多分、ボケでも始まったんじゃね?」

はははと教室内に笑いが起こる。

「明日押しかけてみるか!!」

「賛成!」

そして、その日はやって来た。

「せーのー、先輩いますかぁー!」

ガラガラガラっと昔ながらの引き戸を開けて大学の後輩達が声を掛けた。

「あーっ、お前ら何しに来たんだ」

「先輩が学校来ないから冷やかしに」

「どうしたの、兄貴?」

後ろから夢近が顔を出せば。

「おおおおっ」

変な感じにどよめきが起こった。

「バーカ、こいつは俺の弟だよ!それより飯でも食ってけ」

急に賑やかな食卓になった事に夢近はただならぬ不安を感じていた。

「へー、格好いいっすねー!おいらも弟欲しかったなー」

「おめーの場合兄貴がいるだろ」

「あんなバカ兄貴欲しくなかったっすー」

「はははは!!」

大爆笑の中に、1人細々とご飯をかきこむ夢近を見て後輩連中が矢継ぎ早に質問していった。

「オニーサマの事どう思ってるっすか?」

「やっぱり先輩厳しいっすか?」

「先輩は」

「ごちそうさま」

それだけ言うと夢近は立ち上がり、茶碗を下げて奥へ行ってしまった。

「ま、昔から知ったヤツじゃないと話さねーんだ悪く思うな」

「格好良いのに勿体ない」

「ホントホント」

暫くして、後輩達が帰っていった。

「ほら、奴等帰ったぞ夢近」

「いきなり来て何なのさ、一体」

「そう怒るな、後輩達お前に興味津々なんなんだよ」

不貞腐れる夢近に春美が肩をポンポン叩いて宥めた。

「兄貴の意地悪」

唇を尖らせる夢近の頬をそっと持ち上げると春美がキスをした。

「んっ!」

クチュクチュと舌の動きに思わず喘ぎ声が漏れる。

「んっ、ふっ、うっ、あっ」

「はっ、はっ、んふぅ」

「あっ!」

スルスルっと唇が首筋を伝っていった。

「兄貴………」

「良いか?夢近………」

と、囁けばコクンと軽く頷いた。

「は、あ!」

息付く間もなく抱き締められ、キスの嵐が降って来た。

「んーっ!」

目一杯吸い付かれ呻き声が上がる。

「ふっ、くっ、あっ」

ジュルジュルと音を立て流れ落ちる涎。

「んっ、ふっ、んっ、ふっ」

舌の動きに合わせ、ゆっさゆっさと腰を振ればゴソゴソと片手がモノを触った。

「あああ………」

カッチャカッチャとベルトを外すその手がズボンをずり下げた。

「ん………」

その後の事は覚えていなかった。

「ああ!ああ!ああ!」

ただ叫びまくり、余韻に浸っていた。

「兄貴………最高!」

夢近が声を張り上げる。

それはずっとずっと止む事無く部屋中に響いていた。





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