姫と海賊

□1話
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人里離れた村にある王国
裕福とは言えないが王様も国民もみんなで力を合わせて楽しく暮らしていた。

姫はそこの一人娘として大切に育てられた。
年がいってからの念願の子供だったので国民も大喜びで三日三晩お祝いをしたのが昨日のことのようだ。


だがあるときその幸せは壊される


海賊が現れ城を襲った
少ない兵士で何とか対抗し撃退することができた。

しかし本当の悲劇はそのあとだった


「オイオイ、先にドンパチやったやつがいるみてェだぞ」

「この国を襲う理由はやはりあの薬草か」

「どうでもいい。俺たちの目的は決まってんだ。国王と王妃を縛り上げろ」


さっきまでの戦いで兵士たちは疲弊し勇敢に立ち向かうがあっという間に倒されてしまう。


「おい、お前のところに娘はいねェのか?」

「うちには子供はおらん。金も何もない国から何を奪うつもりだ」

「ほぅ、娘はいない…か。キラー!」

「探してくる」



※※※


突然の襲撃
今までこんなことはなかったので姫は咄嗟に物置に隠れた。
赤い髪の男が父様と母様に何か言っている…

自分の部屋に誰かが入る音が聞こえた
物置に逃げ込んで正解だったが、目の前で父様が男に蹴り上げられたのを見て思わず飛び出した。


『何をしているの!無抵抗の者に手を挙げるなんて男の恥だわ!』

「ほぅ、いるじゃねぇか。ずいぶん気の強い娘がよ」

「違う、その子は娘ではない!だから逃してやってくれ!」


姫を庇おうと前にでるが再びキッドに蹴りをいれられる。


「お前らみたいな老ぼれに用はねェ。この娘もらってくぜ」

『ふざけないで、誰があなたなんかに!』

「このジジイを殺すなんて俺は何とも思わない。それに国民全員生きたまま焼いてもいいんだぜ?」


ゾッとするような笑み
それでも国王は姫を守るために立ち上がろうとする。

キッドもそれに気づき再び拳を振り上げたがその拳は姫の頬に当たり後ろに吹き飛んだ。


「姫になんてことを!私はどうなってもいい、国民と家族に手を出さないでくれ!」

「うっせェジジイ!本当に殺してやろうか、アァ!?」

『その手を離して…あなたの目的は私でしょ。今すぐあなたの部下に争いをやめるよう命令して』

「その対価はなんだ?」

『あなたの目的が私を船に乗せることなら言う通りにするわ』

「ふん、海賊相手に交渉とは面白い。お前ら撤収だ!」


泣き叫ぶ国王と王妃に別れのハグをして姫はキッドの船に乗せられることになった。
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