姫と海賊
□9話
1ページ/1ページ
キッドの部屋で飼われるようになって二日
部屋にいる時はほとんど抱かれていたが初めのような抵抗はなくキッドのイライラは募るばかりだった。
「つまんねェな。もっと泣き叫べ」
無抵抗が一番の抵抗
早く興味がなくなり殺してくれればいいと願う。しかしキッドもそれが姫の望みだと分かっているかのように命だけは奪わなかった。
今日は外が騒がしい
久しぶりに島に着いたらしくクルーがみんな浮き足立っていた。
自分には関係ないとただ時間が過ぎるのを待った。
夕方くらいに扉が開きキラーが食事を持ってきてくれた。
久しぶりに見るその顔は嬉しいはずなのにあの日のことを思い出し涙が出てしまう。
その様子に焦って近付いてくれる
キラーと話せる最後のチャンスだと思い姫はできる限りの笑顔で言った。
『キラー私を殺して』
キラーは姫を抱き締めていた。
キッドを裏切るつもりはないがその笑顔があまりに悲しくこうせずにはいられなかった。
『お願い…あなたにしか頼めないの…』
「そんなこと言うな。キッドは悪いヤツじゃないんだ…ただ不器用なだけで」
全身アザと傷だらけで無理矢理抱かれる辛さを考えるとこれ以上の言葉が出なかった。それでもキッドが執着する理由も知ってほしかった。
「大切にする方法を知らないんだ。だから…」
『キラーは優しいね。殺してなんて頼んでごめんなさい。もう大丈夫だから』
姫が落ち着いたようで少しホッとした。
『この前必要な物を聞いてくれたでしょ?服だけじゃなくて下着も欲しいんだけど私も降りちゃダメかしら?』
「キッドに聞いておこう。確かに俺たちじゃ揃えられないからな」
しばらくすると相変わらず機嫌の悪そうなキッドが現れた。
「お前に衣服なんざいらねェ…と言いたいがそうも言ってられないからな」
首輪を外すとシャツとズボンを渡された。
「とりあえずそれを着ろ。行くぞ」
久しぶりに地に足をつけた。
キッドの風貌に周りの人は道をあける。
「奴隷に物を買うのは初めてだ。適当に選べ」
そう言われて困っているとイラついたキッドが片っ端から買っていってしまった。次に行きたいところを聞かれたので下着屋と答えた。
さすがに中には入らず向かいの酒場にいるから終わったら来いと言われた。
逃げるなら今しかない