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□音のない世界と君
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治くんの家と私の家はくっついてるんじゃなちかってくらい近隣にある。
それに加え、なんと親同士も昔からの大親友である。
そんなこともあり、私と治くんの仲が深くなるのも、
必然になるのではないだろうか。
私は生まれつき音を聞くことができない。
補聴器は身から離せないし、手話やメモ帳などは生活必需品のようなものである。
災害時は当然だけど困る。
情報が全然入ってこないし、
パニックになってる皆の口元を見ても、何を言ってるのか聞き取れない。
ひたすら恐怖である。
また、小学生のときは少しコンプレックスに思うこともあった。
皆と違って音読も出来ないし、
音楽の授業とかどうすればいいのかわからない。
でも、困ったときには必ず治くんがそばにいてくれた。
私が困ってたり、落ちこんでいたりすると、
すぐに察して、そばにいてくれる。
そんな治くんに恋をするのも、
必然ではないだろうか。