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□ひなののののはな
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第一話「きっかけ」

桜庭雛乃は修学旅行に来ていた。
旅行先がどこであるとか、いつ行ったのか、とかはこの際どうでもいい。とにかく雛乃は修学旅行に来ていたのである。
一日目の市内観光もすべて終わって、食事や風呂もすませた雛乃は部屋に戻った。すると、部屋では一人の男が待っていた。相野隼人である。
「おー、やっと戻ってきたか。」
「あれ、隼人くん同じ部屋だったんだ?」
「あぁ、しかも二人部屋だぜ?」
「わーい、今夜は隼人くんと二人きりだぁ☆」
二人は消灯の時間をすぎてもおしゃべりを楽しんだ。今日はこのまま語り明かしてしまおうかと雛乃が思ったとき、隼人が急にカーテンを開けた。
そこにはきれいな夜景が広がっていた。雛乃は思わず息を呑んだ。
「わぁ…きれいだね…」
「ほら、あそこに大きなビルがあるじゃん?」
「どのビルだかわからないよぉ…」
「とにかく向こうの方を見ててごらんw」
雛乃は隼人に言われた方角を見つめた。
…パチッ!隼人が指を鳴らした瞬間、
雛乃の目には色とりどりのイルミネーションで飾られたビルが映った。
「おぉ…」
「雛乃ちゃん、」
「なに?」
「実は俺、この修学旅行が終わったら、親の仕事の都合で引っ越すことになっちまって…」
えっ。雛乃は耳を疑った。隼人は続けた。
「そしてこれが、俺の最後の気持ちだよ、雛乃ちゃん。」
隼人がもう一度指を鳴らすと、夜空に浮かび上がる七色の光の筋の中に、ハートマークが現れた。
「雛乃ちゃん…俺は、ずっと、雛乃ちゃんのことが…」

(09/6/22書込)
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