遙の本棚6
□その眼に映るもの
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あいつは…望美の好きなやつは俺じゃない
だからと言って誰か一人に絞って考えると誰もいない
心此処にあらずって奴だ
「まーさおーみくん!」
「…なんだ?」
「全く聞いてなかったでしょ!」
仕方無いだろ俺以外と楽しげに話してる望美の相手に腹立ててんだから
分かってる単なる嫉妬だって
でも、悔しいんだぞこれでも
いつでも傍にいられるあいつらと平家に何か起きたら直ぐに戻らなきゃならない俺と
選ぶんならやっぱり傍にいるやつだろう
危ないから連れてはいけないけど俺の知らない望美が其処にいて苛々するんだ
「…また考え事してるし」
「あ…わりい。で、なんだって?」
「将臣くんなんて…好きじゃなければ私だってこんな苦労しないのになあ」
……………すき?
「望美?俺がすきなのか?」
「今言ったでしょ?苦労性だねって朔にも皆にも言われてる。直ぐにいなくなる人を好きになるなんて…でも仕方ないよね好きになっちゃったから」