遥かの本棚5

□夜中の目覚め
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時々思う

もしもあの時に望美が共に逃げてくれと言ったら

…俺はどうしたんだろうか

「…逃げたかな…」

あいつらを捨てても

例え負けると分かっていても

望美を取っただろう

限界だったんだ
全部

望美が源氏であることも

俺が平家であることも

望美と戦わなければ為らないことも

望美が逃げないと言ったから俺達はこうやって寄り添える

やっぱ、望美には敵わねえな…

今ならわかる

あいつの強さ

ったく…

「…将臣くん?」

「望美、起こしたか?」

「ううん、目が覚めたら将臣くん居なかったから…」

「そっか、来いよ」

「うん」

外に居た俺を探して来たんだろう

「…ねえ将臣くん、こんな夜中にどうしたの」

「…夢を見たんだよ。望美と俺と二人だけで…あの寂しい教室に永遠に居る…そんな夢を」

多分それはもうひとつの未来

夜中に目覚めるほど恐れたのは
望美を失い悲しませる事

それだけは二度としないと
空に輝く星に誓おう

隣でぼんやりと空を見上げる望美

「将臣くん、夜中に目覚めるのって…なんか淋しいね…一人ぼっちのような気がする」
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