遙の本棚6

□少しずつ少しずつ
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少しずつ少しずつ

少しずつ少しずつ大きくなっていくお腹に不安が募る

だって側には貴方が居ない

私に滋養のあるもの食べさせようと狩りに行って数日間

私はつわりで食べられ無いからこればかりは変わって貰えない
辛いけど幸せな事だと思っていた。

でも、側に居ない不安からか身体の調子が良くない

「ただいま、待たせたな。不安だったろ…ってお前!望美!どうした!?」

「お腹…痛い…」

「ちょっと待ってろ産婆さん連れて来るから」

「望美殿、大丈夫ですか?」

「ちょいと、破水してるじゃ無いか一月も早く!こりゃ出すしかないね。お湯用意して綺麗なさらしも必要だねこりゃ忙しくなるよ!」


そういうと産婆さんは私を舌を噛まないようにサラシを口に含ませハリに布をかけて私の両手に掴ませた

「それから、死産でも我慢すること。こんな小さい子供取り上げてもすぐに死んでしまう…」

私は産婆さんに笑って紐を掴んだ

「大丈夫死んだりしない。私と将臣くんの子供だもん強くなるに決まってる」




襖隔てた一枚で望美が頑張っている自分勝手に狩りにいってでも、望美は俺を信じてる

そうだ。滋養の付くものを食べさせようとして鹿を狩って来たんだ

望美のために
将臣くんの子供のために
死なせはしない

「オギャー」

産婆が連れてきたのは小さい小さい赤ん坊超未熟児だ望美の心臓の辺りに置いてやる。

現代のテレビでそうすると死亡率が激減するらしいことを頭の隅に入れていたからだ


「おつかれさん」

「…ん、痛かった凄く」

「よほど痛かったんだな…今滋養に良いものつくらせたが…食べるか?」

「流石に今は良いや…」

「お乳飲ませないと…ふふふ、くすぐったい。ねえ将臣くん少しずつ少しずつ大きくなっていくよね」

「当たり前だお前達は俺が守る」

「うん。少しずつ少しずつ家族になれたらいいなあ」

「そうだな皆一緒に家族になるんだ六代達は兄だな」

「うん。」

あいつらに見せにいっても?と不安げな顔してる六代達に産まれたばかりの赤子を見せに行った

「小さい赤ん坊だな」

「望美殿は無事ですか?」

「いつか大きくなるし、望美は俺が見てるから心配ない。それより兄になるんだぞ。おまえら」

「兄として強くならねば為らない」

「優しくしてやるんだぞ」

「分かりました」

「分かったぞ」

少しずつ少しずつ家族になろう
初めは他人からだから
沢山泣いて笑って怒って悲しんで少しずつ少しずつ家族になろう

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