Novel
□呼ぶ声
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「弁慶、どうしたんだ?」
物思いにふけっていた弁慶に何かあったのかと顔を覗き込む九郎。
「いえ、君の事を考えていただけです。」
さらりとそんなことを言い出す弁慶に恥ずかしくなった九郎は顔を赤らめ目線を反らす
「そ、そうか。だが何故俺のことを?」
「九郎に呼ばれたからです。僕は…相当君の声が好きみたいです。」
「そんなに良い声とも思わないが」
自分の声を好きだと言う弁慶を不思議に思い眉間に皺を寄せて考え込んでしまう。そんな九郎も弁慶にとってはすごく可愛いくて、ついからかってしまうのが日常だ。
「ふふ、僕にとっては凄く良い声ですよ。特に君の甘い声はそそりますね」
「なっ、べんけ…///」
「声に限らずですけどね、君は可愛い人ですから」
「…………」
思いもよらない言葉に恥ずかしくなり九郎は沈黙してしまう。
それを察している弁慶はクスリと笑い促した。
「さぁ、望美さん達が待ってますから行きますよ?」
九郎は先に進む弁慶の背を見つめ、届くかわからないような声で囁いた。
「…俺もお前の声が好きだ///」