Novel
□最後にもう一度だけ
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「このごに及んでまだ策があるというのか?」
九郎が驚いた表情で僕に問う。
「実はひとつだけ…九郎、君は皆を連れて北へと退却してください」
「弁慶…だが…」
「そうしなければ僕の策は成りません。いいですね」
戦力が違いすぎる。策なんて元よりなくて…
自分で言ったものの…死ぬ事より君の顔が見れなくなるのが悔しい。
あんな僕の言葉を信じてしまう可愛い彼をもうこの手で触れることも、抱きしめることも叶わない。
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