「ん、…」

あの台詞の後、舌の上にアイスを乗せて相手に顔を近付けた。
俺の熱でぐずぐずと蕩けてくるのが広がる甘みでわかってとれて、早くしないとなくなっちゃうよと、小さく声を漏らして相手を促しつつ瞳で笑う。
なのにかあ、と微かに頬蒸気させてじっとこちらを見つめてくるお兄ちゃんがなかなかこちらに来ないから意地悪してやろうかと思って、回らない呂律で何かを喋るのはマヌケだからとそのままそのアイスを食べてしまおうとした、



「、……っ!」

ら、突然腕を伸ばしてこちらの頭を両手で抱えた相手の唇が俺のそれに、重なった。



始めはきょとんとしてしまうものの、真っ赤な顔で唇を押し付け離すまいと強く頭を引き寄せてくる相手が愛しくて頭を寄せ返せば、ひくりと肩が跳ねた。
こちらから甘さの広がった舌を差し込めば、相手の熱でいつもよりも熱を持っている舌がアイスをねだって、脳を犯すような甘みをねだって、奥に挿入り必死になってこちらの舌に絡まってくる。
濡れた音がお互いの唇と唇の間で鳴っているのを少し遠くに聞きながら、歯列を撫でてみると、また身体が小さく跳ねる。

「んっ…、う…」

アイスの甘さが消えた後も、甘味の染み付いたお互いの舌を味わうかのように吸い付いたりと唇を離さないでいれば、暫くして苦しくなってきたのか、離してくれと苦しそうにどんどん胸を叩いてきた。
苦笑いを漏らしてから唇を離してあげればぷはっと息を吐いて荒く吐息を漏らす。
そんな相手がやっぱり可愛くてちゅ、と額に口付ければこちらを上目で見つめてきて、もう一度とねだるように舌をぺろりと出してきた。
頬を染めたまま虚ろにねだってくる相手にたまらなくなるものの、すぐにあげるのもつまらない。
舌を出したままじっと寂しそうに大人しく 待つ相手の首筋を撫でてあげれば、猫みたいに気持ち良さそうに手に擦り寄ってくる。逆の片手で舌に触れればびく、と身体を跳ねさせて涙目で腰をよじる。

「レ、…んっ…」

舌を押さえているために呂律の回らないそれでふるふると切なそうに首を振ってねだってくる相手の頭をそのまま首筋からずらし優しく撫でれば、お兄ちゃんは不思議そうに首を傾げた。
にっこりと笑めば、また、少し震える。

「お願いして」
「…え、?」
「お願い…してよ」

欲しい…って、と相手を怖がらせないように耳に口付ければ、切なそうに瞳を細めてこちらに身体を乗り出したと思ったら、ぴたりと頬をくっつけて顔が見えない場所で小さく声を漏らす。
泣き出しそうな濡れた声で、甘えた声で、耳もとで、緩く。



「ちゅーして……、レン、」



普段しないような身体に絡み付くような声音にぞくりと、背筋が震える。
恥ずかしがってやらないと思ったのに、その上次ぐように布団から身体を完全に出してこちらに抱き着いてきて、脚を腰に巻き付けてひっついてきた。
ここまでくると熱だからだろうとしか言いようが無い。

(ああ、理性を保て、…理性を)

無理矢理笑みを向かい、絡まってくる相手の目尻に口付けてから崩れそうになる理性を必死に守るように肩を少し押して身体を引き離そうとした。
なのにふるふると首を振って少し離してみれば声を聞いたからには予想していたものの、やはり俺の一番弱い泣き顔でぐすぐすとぐずりながらこちらを見つめてくる。
それでもまだ流石に耐えられないからと身体を押す俺に、いやだと小さく声を搾り出せばアイスを手に取り手で掬ったと思ったら口に押し込んできて。

「ふ、ぁ…っちょ、兄ちゃ…」
「…いじわる、お願い、ちゃんとしたのに…いじわる……っ」

そのまま泣きじゃくっていたと思ったら俺を後ろに押し倒して、唇を押し付けた。
ベットにそのまま倒れる身体、上に乗っている俺の愛しい人、ぎゅうと強く瞳をつむってアイスを、それともか俺の熱を求めてくる、お兄ちゃん。
驚き瞳を見開いていた為に涙に濡れた頬が見えて、きゅうと胸が締め付けられた。



(もうだめ、だ)
(この、ひとが、欲しい)




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