空の軌跡AS
□空の軌跡AS 第1章
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窓から木漏れ日が降り注ぐ中、クローゼは目を覚ました。
ベッドからゆっくりと起き上がり、窓から外を眺めると工業的な街並みが目に飛び込んでくる。
昨日ティータ達とすっかり意気投合したクローゼはすっかり夜も遅くなったこともあり、ラッセル博士の言葉に甘えて一晩泊めてもらうことにしたのだった。
しばらく外の景色を眺めていると、突然、静かな朝にはおよそ似つかわしくない爆発音が響き渡った。
まさか…
クローゼは額にツーっと汗を浮かべる。クローゼには爆発の原因に心当たりがあった。昨日も同じように爆発を起こした人物を知っているからだ。
「エステルさん、この爆発はもしかし…て…」
「スゥー、スゥー。」
「………。」
クローゼはエステルに確認を取ろうと呼び掛けるが、思わず絶句してしまう。あれほど大きな爆発音がしたのにエステルは平然と眠り続けていたからだ。
「もう、お腹いっぱいで食べられないってばぁ…ムニャムニャ…」
「…クスッ。もう、エステルさんったら。フフッ。」
平和そうな顔をして寝言を呟いているエステルを見て、クローゼはおかしくて、つい笑ってしまう。
こんな状況でも寝ていられるというのも大物の証ですね、きっと。
幸せそうなエステルはこのまま寝かせておくことにして、ラッセル博士の元へと急ぐことにした。
研究室へ入ると、案の定部屋の中は煙でいっぱいになっていた。1m先の様子もまるでわからない状態だ。
やはりラッセル博士の仕業でしたね。
「ラッセル博士、ご無事ですか?」
「おお、もちろん平気じゃわい!」
煙でその姿は確認できないが、奥の方から元気そうな声が聞こえてきたので、クローゼはひとまず胸を撫で下ろす。
まずは…部屋の中の煙をどうにかしたほうがよさそうですね。
そう判断したクローゼは換気をするために窓へと向かった。
………
「ふぅ、ようやく落ち着きましたね。」
「いやー、大変じゃったのお!」
一通り換気を終えたクローゼ達は朝の食卓に付くことにした。向かいでは事故を起こした張本人のラッセル博士が相変わらず反省の色を見せずに大笑いしている。