空の軌跡AS
□空の軌跡AS 第1章
1ページ/7ページ
リベールに古くからある4つの塔…
ロレント地方の翡翠の塔、ボース地方の琥珀の塔、ルーアン地方の紺碧の塔、そしてここツァイス地方の紅蓮の塔…
グランセル地方を囲むように天高くそびえ立つこの4つの塔は総称して「四輪の塔」と呼ばれている。
この4つの塔に関しては数々の考古学者が興味を示し、調査を行ってきたが、これら4つの塔が遥か昔から存在すること、それぞれの塔の頂上に何らかの装置が設置されていること、くらいしか解明されていない。
果たしてこの塔がいつ、何の目的で建てられたのか、等々気になることは多々あるが、その全貌は未だ謎に包まれている。
それはさておき、ラッセルをさらった犯人が紅蓮の塔にいると考えたクローゼ達は紅蓮の塔の手前までやってきていた。
「ここが紅蓮の塔…」
「ここにラッセル博士がいるのね!」
「おじいちゃん…今助けにいくからね!」
三人は塔の中へと突入し、急いで上階へと駆け上がっていく。
現在の時刻は午後6時
すでに辺りは夕暮れに染まり初めている。
外の様子を横目で確認しながら、三人は休むことなく走り続ける。
ラッセルをさらった犯人は一刻も早くツァイスを去りたいはず。
しかし外が明るいうちは人目につくため飛行艇を飛ばすとは考えづらい。
そうだとしたら動き出すなら日が落ちた頃…つまり、あの夕陽が完全に落ちる頃がタイムリミットだ。
三人はそれがわかっているから、脇目もふらず一直線に頂上へと走り続ける。
「ッ!?止まって!」
ひたすら塔を登り続けて、もう少しで頂上へ着くというところで、先頭を走っていたエステルが急に立ち止まり、後ろを走っていたクローゼとティータを小声で制した。
「どうしましたか、エステルさん?」
クローゼはエステルの様子から何かを感じ取り、自身も小さく声を返す。
「この先に誰かいる気がする。」
「わかりました…。慎重に進みましょう。」
ここからではまだ姿を確認できないが、遊撃士であるエステルがいうのだから、おそらくそうなのだろう。